鶏卵から育毛物質(ただし体毛)、そして父にまつわるヨタ話
まあ、よろず卵の類いにはそういうのは含まれてるんじゃねえの。これが確かかどうかはまだ分からんが。
鶏卵から育毛物質、京大が開発(日経)
京都大学の吉川正明教授らは、鶏卵のたんぱく質を原料に、育毛を促す働きのある物質を開発した。食品を原料に使って量産できるため、「食べる育毛剤」に道を開く可能性がある。動物実験で効果を確認しており、今後、企業と組んで人での安全性を確かめて実用化を目指す。先の話だろうが、実用化されても手を出すのは用心されたほうがいい希ガス。以下、ヨタではあるが、我が父にまつわる話。
かれこれ十年近く前の夏のこと、私は札幌へ出かけた。当然ながら海の幸を満喫。初ボタンエビウマー、サッポロクラシックウマー、ジンギスカンウマーなどと食いまくったわけだが、日程の都合でイクラ丼を食いそびれるという痛恨の事態に陥った。とても悲しい思い出だ。
しかし前を見つめなくてはいけない、そう立ち上がった私は魚連の販売店で箱入りのイクラを他の海の幸(家族などへの土産用)とともに購入し、郵送してもらうことにした。到着日は私の帰宅日にセット。帰り着いた日の晩飯がイクラ丼、という何とも幸せな計画をたてていた。順調に日程を消化し、我が家に帰着。玄関のドアを開け、大きめの声でただいまーと。返ってきた第一声。
おお、このイクラ旨いわ、これ。
・・・おとっちゃん、何食べてはりますか。大体息子が帰ってきたらまずはお帰りでしょ。しかも私の帰る前に開封してますか。他のは兎も角、それは私用に買ったのでございますですよ。そのような私の小言を爽やかにスルーして凄い勢いでがっついてます。何だその品のない食いっぷりは。家族の顔がみたいわ。
気を取り直し一息ついたあと、母に頼み、念願のイクラ丼を作ってもらう。をを、一面イクラ。ご飯見えねー。喜びの踊りを踊りたくなる気持ちを堪え、これまた凄い勢いで完食。どうだいその食い方は。親の顔がみたいわ。
・・・何か親父が拗ねてます。ん? 俺のイクラこいつに取られただと! おまいは誰が買ってきたんか分かっとるんかコラ。とは言えない私は見て見ぬ振り(しかし半年言われ続ける)。結果残りの殆どは父の胃袋へ。無くなるまで一日最低一食はイクラを食べる生活を過ごした我が父。常人なら行わぬ行為を行った父に驚くべき変化が。
当時父は七十代。髭のみならず、脇や股間のヘアーに白髪が目立つお年頃♪ それが何故か黒髪に。頭髪等は変化なし(しかし父は元々フサフサで結構黒い)。喜ぶ親父。わざわざ見せに来るでない。そんな父は放置して母親とディスカッション。やっぱりイクラかね。んー、卵の中は成長因子の宝庫だからねえ。そういうこともあるのかもねえ。ほかに思い当たらんしな。まあ、悪いことではないしな。はっはっは。
しかし、それだけではすまなかったようだ。
父の頬にナニヤラぷっくりと出来物が。秋口からどんどん増大。もともと何かと化膿しやすい人だからまたかと。一応医者へ逝け、と提案するも医者嫌い故華麗にスルー。そして少々イクラを食したかどで父になじられ続ける私。まだ食いたいのか。でもだな、普通に買うと高いんだよ。秋が深まるもことあるごとに言われて困惑する私宛に一通の漁連から通販のDM。OH! リストにイクラが! ええ買いました、父君の為に買わせて頂きましたですよ。今度は正真正銘おとっちゃんのモノでございます。これで文句あるまい。注文して届くなり再び夏と同じイクラライフへ突入。年末年始イクラ漬け。よう食い飽きないなと関心する私。
それは一月の二日だったか。泥酔した夜、父が痛みを訴える。エラク大きくなって腫れ上がった出来物が凄い痛いと。今まで痛くなかったのが不思議な位の大きさに育っていた訳だが。取り敢えず痛み止めでやり過ごし、医者の始まりとともにちゃんと診てもらうことに。
改めてちゃんと診てもらう。膿みの除去、抗生物質などを投与するも、近傍が新たに膿む体たらく。変なので精密検査をしてもらうと、ステージIVの顎下腺癌、と判定される。目の前が白くなった瞬間だ。その後闘病に入った父は結果、七月にお迎えがきて逝ってしまうわけである。さようなら、パパン。
まあ、これはあくまで家族としての印象であるのを否定は出来ないのだが、イクラに含まれる成長因子の何かが体毛へ影響を及ぼし、黒髪に戻すとともに、目下育ちつつあった癌細胞へも刺激し、絶賛大増殖させたのではなかろうかと。一か所、しかも都合のいいところにだけ効く、というのは難しいんだろうな。無論現時点では何も根拠はないので、何時か手前で実験して確かめてみようかと心密かに思ってはいたのだが、似ていると言えなくもない研究が出たのでどなたかの参考になるやとも思い晒してみる。
ちなみに私は今も、イクラは好物の一つである。つーか親父は食い過ぎ。
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