惰性の隔離
3月1日、ハンセン病に関する最終報告書が厚労省に提出された。書かれている提言が迅速且つ確実に遂行されることを望みたい。
無知を晒すと、96年になるまでらい予防法なるものが存在していたことを知らなかったわけだが。
強制隔離の名分の為に残していたのかね。国が差別を拡大し、必要なくなった隔離を惰性のように続けてきたと指摘、医学界、報道機関、法曹界などの責任も免れないと結論づけた。と提言にあるらしいが、ひどい話だ。特に医師、実情を知らずにそう振舞ったのなら不勉強の極み、知っていてそう振舞ったのなら職業倫理の欠落となり、全く持って許しがたい。実際どうやって責任を取るのかは未だ不明だが、不当な仕打ちを受けた患者/元患者当人達とその周りの方々が最大限納得できる形にしていただきたく思う。
私としては、このような差別は知識の不足が大きいと考えている。故に、正確な知識を身に付けることこそ現状の改善につながりうる。子を持つ親は自らもさながら、子供にもしっかり教育していただきたい。無知故に残酷な言葉を吐く場合も往々にしてあるのだから。関連して、患者の方々と比べるべくもない程度の話だが、私の経験を少し。
私は幼少期よりアトピー性皮膚炎に悩まされてきている。かかりつけの医者にまめに診てもらっていたのだが、苦痛を訴える度に上手に宥められてきた。いつになったら治るの、と小学校低学年の私が聞けば先生曰く、高学年になったらね。高学年の私が問えば中学校にあがる頃にはと返される。高校生の私が凄い勢いで当時のかかりつけであった女医さんに問いつめると、
もう治らんから、一生付き合っていきーと限りなく軽やかにそして爽やかに。あんまりです先生その告知は。
以後、付き合いは今に至るわけだが、大学生の頃、花見のときだったか。首筋が色素沈着がおきてしまい、自分でみても見目悪し。シーツを広げて和んでいると、いたずらっ子のガキどもが絡んでくる。やんちゃなやつが一人いて鬱陶しいのでスルーしていると、仕舞に「首が腐っている」等とほざきやがる。アトピーでね、と説明しても耳を貸さず繰り返し叫ぶ。日頃温厚が服を着て歩いている私に殺意の芽生えた瞬間だ。あと数言何か言えば殴る、マジでしばくと限界近傍で耐えていた。すると一緒にいたガキの一人が、「僕もアトピーなんや。」と悲しげに。バツが悪かったのか、退散するガキ。おお、お前、友達思いやないか。そこで学んでくれるならいいや。
ところで、この記事は各新聞社がトップ扱いをしているのだが、報道機関の責任を問うている自己言及に当たる部分が相変わらず興味深い。述べられている一文を抜いてみる。並びは五十音順ね。
また、宗教界、法曹界、報道機関の役割と責任にも言及、「マスメディアは、隠蔽(いんぺい)された人権侵害の救済に無力だった」とした。あのさ、産経は要約だから置いといて、「」内の文章が全部違うのはどうして? ちなみにライブドアニュースだとこう。
朝日新聞差別・偏見を助長した事情として、保健所を中心に地域から患者を排除する「善意の活動」の拡大に加え(1)療養所での裁判など司法の不当な対応(2)隔離受容を説いた宗教界、療養所で働く人を美化した福祉界、「よき入所者」教育をした教育界(3)報道機関の無関心と不勉強−などを挙げた。
産経新聞(共同)マスコミについても「多くの記者がハンセン病問題に不勉強で、療養所に足を踏み入れなかったため、患者闘争や人権侵害が報道されず、救済に無力だった」と批判している。
毎日新聞ハンセン病問題の報道に消極的だったマスコミの責任についても、「社会的に問題を抹殺したのも同然」とした。
読賣新聞
また、差別・偏見を助長させた背景として、法曹、教育、福祉、宗教など各界の責任も指摘。報道の責任については「記者の多くは、ハンセン病問題に不勉強で、療養所に足を踏み入れることもなかった。報道が気付かないということは、社会的に問題が抹殺されたも同然」と報告した。これと毎日の文章がよく似ているということは、大本に近いと思われる。
ライブドア・ニュース
コラ朝日・読売、都合良くカットアンドエディットすんな。そして産経、この時期だからこそ自己言及の部分はしっかりとしておくのが吉になるんじゃないのか。少なくともこの記事では毎日とライブドアの方に軍配があがると私はみる。
あなた方が自己に対して優しいのも惰性ですか。
The comments to this entry are closed.
Comments