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相似形の争い

 某国営放送と特に名を秘す大手新聞社の諍い。諍いの内容については他所様で確りと語られているのでパス。

 誰かが書かれていたと思うけどさ、陣取りでもあるよな。共通点多いし。両者ともテレビのチャンネルを持ち、片方は新聞を持たないながらも出版部門は揃えている。何より各戸家庭からのゼニかっぱぎを経営の基盤においているところなんて同じ穴のなんとやら。両者とも訪問販売法の適用外というのはどういうことかね。

 彼等は念ずるお題目が異なる故に愉快な衝突をしているが、諍いを離れ、こと企業として経営姿勢を見た場合、同根の病巣を抱えているように感じる。その病巣は某甲殻類会長を辞任させたり、某勇み足記者あるいはトップに引責辞任を求めたところで、本質的に改善されないのではないか。その思いはこの二つに留まらず、大集団の抱えがちな欠点として考えているわけであるが。

 私は、この欠点というものが、個人間のやり取りのルールで大集団を見据える為に、時間経過とともにある頻度で発生するものと捉えている。端的にいうならば、性善説で集団を扱うことによるエラーである。集団の構成要素である各個人が善なるものであるからして、全て善なるもので構成される集団も善なるものである、といった風か。しかし、各個人が常に間違えないというのも考えにくい。つーかそんなのがいたら神、いわゆるゴッド。個人ならば間違えた際に別の個人(対等もしくは上位の存在)によって指摘、修正されうるが、集団が間違えた場合、何が指摘し、修正をさせるのか。

 今回の諍いを例にとると、ほぼ同格の存在が指摘し、訂正を促しあっている。次第については静観するが吉であるが、どちらかが当初の姿勢を訂正することになることは想像に難くない。パワーゲームではないが、下位の存在だとこのような影響を与えることは困難だろう。力無きものが間違いを指摘するももみ消された例はここにあげるまでもなく。

 集団というものは性悪説敵存在なのだから、いずれ間違いを侵すものととらえ、それに対する対処ができるシステムを用意しておくことが必要なのだということだと考える。例えばトップが暴走したらちゃっちゃと罷免できるような委員会を実効性のあるものとして設立しておく。そのシステムすら暴走する可能性を孕むわけだが、事の経過を法廷のように公開することで緩やかに抑制をかけることができるだろう。それが不可能となった組織は、残念ながら解体されるのがよろしかろうと*。

 ところでエビ様がやめるとかやめないとかニュースで語られているが、彼も就任当初はやり手で、少なくとも組織的には望ましく、非難されるような人ではなかったと思う。周りも期待し、それに応える人材ではなかったか。結果としては、同一地位に長居すると陥りがちな顛末である。「初メアラザルコト靡シ。克ク終ワリアルコト鮮ナシ。」とは書経だったか、それが人の世の常であるわけだから。そうした人材が暴走し始めた時点でチェックをかけるシステムが機能しなかったということの方が本質的な問題だ。だから、そのシステムが確立されないままでは、同様のことを繰り返すであろう。いいのかそれで。

 ヒールを成敗して大衆にカタルシスを与える、という餌をやりつつ、組織としては何も変更しない(=色々な利権構造が維持される)ことをお望みならば、これ以上何もいうことは御座いませんが。


*大概の終わってるといわれる大集団であっても、全てが終わっているわけでなし、また心ある人材はいらっしゃるものであるので、そこいらだけを上手く掬い上げることが可能ならば良いんだが。

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Tracked on January 25, 2005 08:15 PM

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