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ビジネスに誘われた話

 大学を卒業してから暫くして、同期が電話をかけてきた。懐かしさもあったので会ったわけだ。

 車でやってきたそいつが開口一番、
「俺な、ビジネスはじめたんや。」
ほえ?仕事始めたと言えんのかこいつは。まあ面白いから話を聞くか。

 車に誘われ、そいつの家へ。ワンルームで、妙に物が少ない。
で、ビジネスって?
私が聞くと、それには答えず部屋の隅の所で何やらごそごそ。

 洗剤が出てきましたー。そして講釈が始まる。
「この洗剤は泡立ちが〜、洗浄力が〜、環境に〜。」
興味無い私は極めて素っ気なく応対。そんなものどうだっていいわけだ。洗剤なら親父が一時売ってたなあ。

 もともと口数の少ないやつだったのに、話すようになったのう、等とつらつらと考えていたら、
「ディストリビューターが、〜」
何だアムウェイですか。マルチかよ、ツマンネ。君の説明では売れないな、とさらに素っ気なくなる私。反応の鈍さにしびれを切らしたのか、別の場所へ誘われる。好奇心の旺盛な私はついて行く。電車も終わってる時間だし。

 つれて行かれた先は同世代の兄ちゃんの家。勿論初対面。再度講釈が始まる。今度は資料付き。
「洗剤だけじゃなくて鍋も〜」
おお、これが名高いアムウェイの引き込みか。同期の「親」だけあってこれならまずまず。具体的な手の内を知るチャンスと清聴する私。時折茶々質問をすることを忘れずに。

 曰く、本業に影響が出ないからサイドビジネスとして最適。曰く、「孫」がつけばそれで自分は楽に儲かる。曰く、モノとしてもすばらしいから自分が使うのも良い。曰く、アメリカでは一般的だ。曰く、こういうのは早く参加した方がいいから今がチャンスだ。曰く、あと何だっけな。どんどん熱くなってくる初対面の彼。さらに冷める私。

 ごめんよ、その手法とその裏は全部親父に聞いたことがあるんだ。親父はアムじゃないから違うところがあるかな、と思って聞いてるんだけど、変わらんね。ディテールを聞くことが出来たのは収穫だが。ふーん、こんな時間まで頑張って月5、6万の上がりですか。本業首になるとやって行けないね。モノ?仮にモノがようてもその値段では買わん。オノレはともかく、ワイは大阪人や。忘れとんちゃうか。新聞の購読料をやな、半年契約で三か月只にして、洗剤10個ゲットして初めておかんに良し、と言われる大阪人なんや。舐めたらあかんでコラ。

 飽きたので、頃合いを見て丁重にお断り。説得をあきらめて気持ちを切り替えた「親」が「子」である同期に打ち合わせ。
「明日、これを売りこんで回るから会社は休んでー」
えー。本業を休んでまでディスカー。手の内は極力見せぬが吉なのに。大人な私は突っ込みませんでしたが。眠かったし。

 残念がる同期に家まで送ってもらい帰宅。親父が
「何やったんや?」と聞くので、
「んー、マルチ。」と自然に返事。
「ああ。疲れたやろ。」と言われる。

 時計を見ると午前2時を過ぎていた。軽く食って就眠。すっと眠りに就いた記憶だけが残っている。

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